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サンゴへの悪影響だけではない地下水の窒素汚染

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

先日、「白保魚湧く海保全協議会」が沖縄県議会に提出した陳情を受けて、琉球新報に関連記事が掲載されました。


記事では主に「サンゴへの影響」に焦点が当てられていましたが、私たちが問題視しているのはそれだけではありません。

今回は、あまり知られていない「地下水への窒素汚染」という側面について、詳しくお伝えします。

サンゴへの悪影響だけではない地下水の窒素汚染


琉球新報の記事だけを見ると、サンゴに悪影響があるから地下浸透処理の基準を強化するように陳情したと思われるかもしれませんが、それがすべてではありません。県の基準で大量の浄化槽放流水が地下浸透されると、地下水の環境基準を超えてしまうおそれもあるのです。その原因は、地下浸透処理は土壌の浄化作用を利用しているという大原則を県要綱が無視して、浸透速度の上限の基準を撤廃して緩和したことにあります。

 

改正によって、地下水の環境基準を超えるおそれが生じた地下浸透基準の緩和

①    浸透速度が速すぎる土地で地下浸透処理が可能になった。

②    501人槽未満の浄化槽について窒素の基準が撤廃された。

 

沖縄県は、他の多くの県と違って地下浸透する浄化槽のサイズに制限がなく、大型浄化槽からでも大量の放流水を地下浸透処理できるように基準を緩和しています。501人槽未満の浄化槽では、BOD20mg/L以下で、窒素の基準はありません。現在、放流水の窒素が20mg/L以下という規格の大型浄化槽も製造されていますが、地下水の環境基準は硝酸袋窒素及び亜硝酸態窒素10mg/L以下※なのです。

 

浄化槽の処理能力は1人当たり1日200ℓとして計算されます。501人槽なら、一日最大100,000ℓ以上が透水速度の速い土地で放流され、十分に浄化されずに地下水脈に到達するおそれがあります。たとえば、現在計画がストップしている石垣市白保のホテル建設予定地は、透水速度が適正基準の20倍だったので、改正前の要綱に基づいて保健所から「地下水に短絡するおそれがある」という指摘を受け、建築確認を受けることができなかったのです。

 

記事では、「現在では、処理能力が高い合併処理浄化槽が広がっており、適正な設置推進を図るため、要綱を見直した。」と県は説明していますが、この説明はつじつまが合わないのです。処理能力が高い浄化槽が広まってきたのなら、基準を厳しくするはずです。なぜなら、県要綱で地下浸透処理は、「原則禁止」とされ、あくまで例外的に認められている処理なので、その基準を緩和する理由がないのです。

 

※BOD(生物化学的酸素要求量)は、大きければ水中の汚れ(有機物汚染)が大きいことを示すため、水の汚れぐあいの指標とされています(環境省ホームページより)。

※硝酸袋窒素及び亜硝酸態窒素 それぞれの窒素の合計値

琉球新報|6月12日版記事

https://sa-bu.natsupana.com/wp-content/uploads/2025/06/20250612_21_shiraho.pdf 白保魚湧く海保全協議会HP|陳情書および会見資料


沖縄県HP浄化槽取扱要綱の一部改正

 
 
 

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​沖縄県石垣市白保118

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