前回、私達は法律を調べていく上で、「汚水はどこかに接続しなければならず、雨水とは違い汚水を地下浸透処理する排水計画には開発許可は出せないのでは」と考え、沖縄県に質問書を提出しました。 そして先日回答書が届き、そこから分かったことは「法律には、汚水の地下浸透処理を許可すると明確に書かれている条文はない」ことです!
(ページ最後に質問書と回答書の要約がありますのでご覧ください)
「雨水は地下浸透処理してもよい」とは書かれているが、汚水については明確には書かれておらず、沖縄県は「浄化された汚水」は雨水と同様に扱っていいと解釈し、地下浸透処理してもよいと判断しているのです。
その根拠となったのが、【政令26条3号*】です。ここでは雨水と汚水を同様に扱ってもよいと書かれています。この文を元に、【省令26条2号*】の (要約)「雨水は地下浸透処理してもよい」 という文も同様に考え、「汚水は地下浸透処理してもよい」と解釈しているようです。
(* 政令:法律を施行するための細かなルール。 省令:政令より効力は低く、円滑な運用のための細かなルール。)
果たしてこの解釈で本当にいいのでしょうか。雨水と汚水を同様にしていいのは【政令26条3号】の文章にのみ有効な言葉であり、他の条文にまで同様に扱うことは拡大解釈ではないでしょうか。
法律を読むのはとても難しく、素人の市民としては疑問ばかり浮かんできますが、この開発許可制度を解説してくれている逐条解説書によれば、【政令26条3号】には確かに排水を暗渠に流すかどうかについて、雨水と浄化された汚水を同様に扱う文がありますが、【省令26条2号】の地下浸透をしてもよいかどうかについては「専ら雨水」としかなく、汚水も同様に扱うとは記載されていないんですよね。汚水も同じように扱うのなら、この条文にもカッコ書きで(処理された汚水も含む)と書いてないのはなぜでしょう。解釈の問題なのでしょうか・・・
以前、国交省に電話で「汚水の地下浸透は可能か」質問したことがあります。「開発許可の基準では、汚水の地下浸透処理は認められない」という回答をいただきました。(県の条例等で、基準の補足で地下浸透について定められている場合もある) サンゴ礁生態系に悪影響を及ぼす可能性のある汚水の地下浸透について、国は認めておらず、県で特別な条例もなく、逐条解説を見ても明確に書かれている条文はない。どうも沖縄県の回答は拡大解釈のように思います。 今回「汚水の地下浸透を認める」と具体的に定めた条文がないことは、はっきり分かりました。なので沖縄県も汚水の地下浸透処理を許可する基準を説明しようとしても、このように類推する説明しかできないわけです。 しかし、これからの沖縄の自然環境を保全していくためには、「汚水の地下浸透」についての詳細なルール作りが必要ではないでしょうか。 今回の法律の解釈については、今後専門家の意見を聞いてみたいと思います。
参考 ・政令第26条第3号 P132
・省令第26条第2号 P143
・最新「開発許可制度の解説」P169-170
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<質問書と回答書の要約>
●問1:汚水の排水計画に係る開発許可の元になる法律は、都市計画法以外にありますか。沖縄県の法令、条例が他にありましたら教えてください。
答え:都市計画法と、県が定めた技術基準があります。
●問2:私達は、都市計画法では、排水施設は下水道や川や海などに「接続していること」と決められていることから、「汚水を地下浸透処理する排水計画を含む開発計画には、開発許可は出せない」と解釈しました。間違っていたり正確でなかったら教えてください。
答え:雨水の地下浸透は認められています。(規則第26条第2号) 処理された汚水については政令第26条第3号の規定により、雨水と同様の取扱いをしています。
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